太子御建立七カ寺・広隆寺には教科書にも掲載されている国宝第一号がある!
2021年10月12日
紫式部や紀貫之など文化人も訪れた「長谷寺」は四季折々の花が楽しめる花の御寺
2021年10月25日
太子御建立七カ寺・広隆寺には教科書にも掲載されている国宝第一号がある!
2021年10月12日
紫式部や紀貫之など文化人も訪れた「長谷寺」は四季折々の花が楽しめる花の御寺
2021年10月25日

南都七大寺の1つ「西大寺」は東大寺に対する西の大寺と呼ばれていた?

本堂 from wikipedia

奈良と言えば、大仏のある東大寺を思い浮かべる人は多いはず。

東の東大寺に対する西の大寺と呼ばれるのが「西大寺」なんだ。

今回は南都七大寺の1つにもなっている西大寺についてまとめてみよう。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
西大寺は「さいだいじ」と読むよ♪

 

【南都七大寺とは?】

 

南都七大寺は奈良時代に南都やその周辺にある朝廷の保護を受けた7つの寺のこと。
南都とは奈良時代に都があった現在の奈良市のことだよ。

 

和銅3年(710年)に平城京遷都後に、南都(奈良)とその周辺にあった朝廷の保護を受けた東大寺、西大寺、法隆寺、薬師寺、大安寺、元興寺、興福寺の7つのお寺が、南都七大寺になるの。

奈良時代、主要なお寺は官寺(国営)であり、僧侶は現在の国家公務員の立場だったんだ。

 

南都七大寺は、天平文化を支えたと言われているの。

奈良時代、平城京を中心に栄えた日本仏教の6つの宗派を「南都六宗」というんだ。

 

この南都六宗は、

・三論宗(元興寺・大安寺)
・成実宗(元興寺・大安寺)
・法相宗(興福寺・薬師寺)
・倶舎宗(東大寺・興福寺)
・華厳宗(東大寺)
・律宗(唐招提寺)

の6つになるよ。

 

聖武天皇が諸国に国分寺、国分尼寺を建立したように、朝廷には仏教を国家鎮護に使う目的があったんだ。
つまり仏教と朝廷は非常に密接な関係だったの。
さらに有力な貴族は氏寺を造営していたんだよ。

 

中国から導入された文化は、平城京で日本文化へと昇華したんだけど、それと同時に仏教と政治との癒着や、仏教の政治への介入などもあったんだ。
桓武天皇の平安京遷都は、それまでの貴族や仏教勢力との決別でもあったと言われているよ。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
一旦、リセットしたかったんですかね〜

【西大寺とは?】

 

西大寺の現在の宗派は「真言律宗」で東大寺から約5.6kmの距離のところにあるよ。

創建は天平神護元年(765年)で境内は国の史跡で国宝にも指定されているの。

 

天平神護元年(765年)、称徳天皇の勅願によって、藤原仲麻呂の反乱の鎮圧を目的に、鎮護国家と平和祈願のため7尺の金銅四天王を造立したのがはじまりと言われているよ。
創建当時は、東の東大寺に対する西の大寺として繁栄しており、寺域は48haにも及び、110もの堂宇が建ち並ぶ官大寺だったんだ。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
すっごい大きかったんだよ〜

奈良時代には、薬師金堂、弥勒金堂、四王堂、十一面堂、東西の五重塔などが建ち並ぶ壮大な伽藍を誇っていて、東大寺と並んで奈良の仏教だけではなく、官大寺として政治的にも影響を及ぼしていたそう。

 

奈良の仏教勢力との隔絶が目的とも言われる平安遷都以降は度重なる火災に遭い、鎌倉時代の地頭の侵奪などによって徐々に衰退。
創建当時の建物はほとんど焼失してしまうんだ。

暦仁元年(1238年)に密・律兼修の根本道場として叡尊が中興、伽藍が整備されて、現在は真言律宗の総本山となっているよ。

 

金銅透彫舎利塔 (国宝) from wikipedia

 

 

【現存する西大寺はいつ創建されたものなの?】

 

西大寺の現存する堂宇は文亀2年(1502年)の兵火によって全焼後、江戸時代中期に再建されたんだ。

本堂は、文化5年(1808年)に再建されたもので奈良市屈指の巨大な近世仏堂となっていて、国の重要文化財にも指定されているよ。
この本堂は、東塔跡の北側に中世に建築された光明真言堂の後身なんだ。

 

本堂に安置されている本尊の釈迦如来立像は、建長元年(1249年)の善派の仏師・善慶作のもので、国重要文化財に指定されているよ。
この像は、京都・清涼寺にある三国伝来の釈迦像の模刻なんだ。

また本堂の他にも愛染堂、四王堂も江戸時代中期に建てられたもので、重要文化財に指定されているよ。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
釈迦如来立像、尊い。

【大茶盛の寺として有名な西大寺】

 

また、西大寺は叡尊が始めた「大茶盛」の寺としても広く知られているんだ。
叡尊は西大寺の中興の祖であり、鎌倉時代の僧だよ。

 

叡尊は大和国添上郡に生まれ、11歳の時から醍醐寺、高野山などで修業し、35歳の時には初めて西大寺に住んだの。

その後、一時海龍王寺(奈良市法華寺町)に住んだ後、嘉禎4年(1238年)西大寺に戻り、亡くなるまで50年以上にわたって荒廃していた西大寺の復興に尽くしたよ。

 

叡尊はまず、当時の日本仏教の腐敗、堕落した状況を打破するために、戒律の復興に努めたの。
また貧しい人や病気の人の救済に奔走し、社会福祉事業にも尽力したそう。
西大寺に現存する仏像や工芸品などは、本尊の釈迦如来像をはじめとし、叡尊の時代に制作されたものが多いんだ。

 

西大寺の伝統行事となっている「大茶盛」は叡尊の頃に始まったとされており、今では「大茶盛」のお寺として知られているよ。
大茶盛は特大サイズの直径約40㎝の茶碗を使った回し飲みをする行事であり、鎌倉時代に始まったとされているの。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
重そうです〜!!

叡尊が西大寺を復興したお礼に、鎮守社の八幡神社に茶を献し、余ったお茶を民衆に振舞ったのが、大茶盛の始まりとされているんだ。
当時、お茶は薬として飲まれていて、大きな鉢やたるでお茶を回し飲みしていたと伝わっているよ。

 

江戸時代には直径20㎝ほどの茶碗を使っていて、江戸時代後期の絵図には大勢で茶碗を取り回している様子が描かれているの。
大戦の頃には、大茶盛の規模は縮小されたものの、戦後には武者小路千家の協力により復興。

 

徐々に大きい茶碗が使われるようになり、今では直径約40㎝の茶碗を使って、毎年1、4、10月の年3回この行事を行っているんだ。
ただ現在は新型コロナウイルスの影響で、回し飲み行為を中止し、直径20㎝の茶碗でそれぞれ飲む形にしているそう。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
叡尊さまが腐敗した状況を変えてくれたんだね!

【西大寺のおすすめスポットを解説!】

 

西大寺の境内にはたくさんのお堂があるから、見どころがたくさんあるんだ。

現在の寺域は約1万坪弱で、本堂、愛染堂、四王堂、不動堂、大黒堂、大師堂、鐘楼、南門、東門などの堂舎が建ち並ぶよ。
また境内は国の史跡で国宝や重要文化財など多くの寺宝を収蔵・安置しているよ。

ここでは西大寺のおすすめスポットを解説してみよう。

 

西大寺 本堂 from wikipedia

<本堂>

重要文化財指定の本堂は、寄棟造で本瓦葺。
室町時代の焼失後に再建された堂が傷んだために、文化5年(1808年)頃に再建されたものだよ。

 

土壁を一切用いずに、装飾性の少ない伝統的な様式が特徴。
江戸時代後期の大規模仏堂建築の代表作として、重要文化財に指定されていて、鎌倉時代に建てられた光明真言堂の後身だよ。

 

釈迦如来立像 from wikipedia

 

 

本堂にある西大寺の本尊である木造釈迦如来立像は、建長元年(1249年)仏師・善慶によって作られたもので重要文化財にも指定されているの。

「清凉寺式釈迦如来像」の典型作で、京都・清凉寺にある三国伝来の釈迦像の模刻になるよ。
像内には多数の納入品が納められているんだ。

 

愛染堂 from wikipedia

 

<愛染堂>

奈良県の指定有形文化財である愛染堂は近衛家からの寄進を受け、京都御所にあった近衛家政所御殿を叡尊の住居であった西室・跡地に移築したもの。

木造の愛染明王坐像は重要文化財で、宝治2年(1247年)仏師・善円が作ったものなんだ。

 

小さい像ながら、日本の愛染明王像の代表作の1つで、当初の彩色や切金文様がよく残っているよ。
像内には、小像にもかかわらず多数の納入品が納められていたんだ。

 

叡尊(興正菩薩)坐像 from wikipedia

 

愛染堂には国宝の木造叡尊(興正菩薩)坐像も安置されているよ。

この像は、堂内向かって左の間に安置されている西大寺中興の祖・叡尊の肖像彫刻なんだ。

弘安3年(1280年)、叡尊80歳の時の肖像で、作者は仏師・善春だよ。

 

長い眉毛に団子鼻の風貌は、叡尊の面影をよく残していると言われているの。

西大寺の鎌倉再興期の仏像には像内に多数の納入品が納められているケースが多いのが特色なんだけど、その中でも特に木造叡尊(興正菩薩)坐像の像内にはおびただしい数の資料が納入されていたんだ。
木造叡尊(興正菩薩)坐像の中には、叡尊の父母の遺骨なども入っていたそう。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
像の中に遺骨が入っていたなんて。発見した時はびっくりですな!

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
本当に生きている頃を型とったようなリアルさですよね!!

 

四王堂 from wikipedia

 

 

<四王堂>

創建の由緒を伝える唯一の堂である四王堂は延宝2年(1674年)に再建されたもので、観音堂とも呼ばれているよ。

 

十一面観音立像(四王堂) from wikipedia

 

 

重要文化財に指定されている木造十一面観音立像は平安時代後期の作で、長谷寺式十一面観音なんだ。

正安2年(1289年)に京都・白河にあった法勝寺十一面堂院の本尊を、四王堂に移したものになるよ。

 

四天王立像(四王堂)(手前・増長天、奥・広目天) from wikipedia

 

四天王立像(四王堂)(手前・持国天、奥・多聞天) from wikipedia

 

重要文化財である四天王立像(銅造3体、木造1体は)は、元々は孝謙上皇発願の四天王像だったの。

像本体は持国天・増長天・広目天像が銅造、多聞天像のみが木造になるよ。
前の3体は鎌倉時代、多聞天は室町時代の作と推定されているんだ。

 

十二天像の水天(国宝) from wikipedia

 

 

また平安時代の貴重な密教絵画・絹本著色十二天像(12幅)は国宝に指定されているよ。

現在は、奈良国立博物館に6幅、東京と京都の国立博物館に3幅ずつ寄託されているんだ。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
当時の人たちの技術は凄すぎますよね!

<聚宝館>

聚宝館は昭和35年(1960年)に建てられた、西大寺の寺宝を展示する宝物館だよ。

重要文化財に指定されている木心乾漆塔本四仏坐像は釈迦如来、阿弥陀如来、阿閦如来、宝生如来の4体で木心乾漆造。

 

今は失われてしまった西大寺の五重塔の初層に安置されていたと言われているんだ。
奈良時代末期の作で、4体のうち阿閦如来像は奈良国立博物館、釈迦如来像は東京国立博物館に寄託されているよ。

 

お坊さんレモン
お坊さんレモン
関西だけでなく、東京国立博物館や京都博物館で拝見できる像もあるんですね♪
お坊さんレモン
お坊さんレモン
1250年以上に渡る歴史を感じれる西大寺です♪
お坊さんレモン
お坊さんレモン
たくさんの文化財は一見の価値ありですね♪
お坊さんレモン
お坊さんレモン
さすが東大寺と対をなす西大寺ですね!!

住所

奈良市西大寺芝町1-1-5

 

アクセス

近鉄大和西大寺駅南口から 徒歩3分