日本初の本格的な仏教寺院「飛鳥寺」は日本仏教のルーツ!日本最古の仏像もあるって本当?
2021年7月5日1300年の歴史を誇る薬師寺はお写経で有名?薬師寺の気になるエピソードを徹底解説!
2021年7月7日7世紀の飛鳥には数多くの寺院があり、その中でも飛鳥四大寺は格の高い寺院とされていたんだ。
ここでは飛鳥の四大寺の1つで、平城京遷都によって新都に移転した「薬師寺」についてまとめてみよう。
薬師寺はいったいどんなお寺だったんだろう?
目次
【ユネスコ世界遺産に登録されている薬師寺】
薬師寺は、白鳳時代680年に天武天皇が皇后・鵜野讃良皇女(のちの持統天皇)の病気平癒を祈願し発願されたの。
天武天皇は薬師寺の完成を待たずに崩御され、697年持統天皇の時代に、新都藤原京に完成したんだ。
当時の薬師寺は天平時代まで天下の四大寺の1つとされていたよ。
その大伽藍は我が国随一の壮麗さを誇っていて、金堂や塔のたたずまいは「龍宮造り」と呼ばれるほどの美しさだったの。
その後、平城遷都に伴い、養老2年(718年)に飛鳥の藤原京から現在地に移されたよ。
華麗な伽藍は幾多の火災にあって次々と焼失し、享禄元年(1528年)の兵火は激しく金堂、西塔、大講堂などが焼失。
創建当時の姿を残すのは東塔のみになってしまうの。
しかし現在は復興が進み、昭和51年(1976年)に金堂、昭和56年(1981年)には西塔が、その後中門、回廊、玄奘三蔵院伽藍が復原造営されたよ。
平成15年(2003年)には大講堂、平成29年(2017年)には食堂が再建。
今なお白鳳伽藍の復興を目指して再建が進められているの。
1998年にはユネスコ世界遺産に登録されていて、唯一創建時から現存する東塔は日本の国宝に指定されているんだ。
【薬師寺の伽藍、仏像】
薬師寺の伽藍配置は、中央に本尊を祀る金堂と、東西に東塔と西塔の2つの三重塔を配する構成になっているよ。
この配置は日本で最初の独特なもので、「薬師寺式伽藍配置」と呼ばれているんだ。
また堂塔の各層に裳階をつけた壮麗な姿は「龍宮造り」と呼ばれ、薬師寺の伽藍の特徴でもあるの。
薬師寺には9件の国宝と26件の重要文化財が祀られていて、厚く信仰され続けているよ。
次に金堂にある国宝指定の仏像をいくつかまとめてみよう。
<薬師三尊像(国宝)>
薬師三尊像は白鳳時代に造られたとされる仏像で国宝に指定。
薬師寺創建当初より金堂に祀られている薬師寺のご本尊になるよ。
『日本書紀』によると697年7月29日に開眼法要が行われたと考えられているんだ。
中央に薬師如来、右側に日光菩薩、左に月光菩薩が安置されているよ。
金堂は兵火によって焼失したものの、薬師三尊像は光背を焼失するものの、お像に関しては当初の造形を残しているんだ。
・薬師如来(国宝)
薬師如来の正式名称は薬師瑠璃光如来。
薬師如来は人々の病気や災難を除き、健康と幸福を与えてくださる仏様として信仰を集めているの。
そのため、薬師寺には健康祈願で参拝する人が多いんだよ。
薬師如来は像高254.7㎝で、手には水掻きのような曼網相、法輪の模様の千輻輪文があり、胸の中央には卍文様、足には千輻輪文や双魚文などの文様が線刻されているんだ。
古代の金銅彫刻でここまで繊細に表現された仏像は珍しいんだよ。
造立当初は、鍍金が施され金色に輝いていたけれど、現在は一部をのぞいて漆黒の姿になっているの。
・日光菩薩(国宝)、月光菩薩(国宝)
薬師如来の左右に立つ日光菩薩、月光菩薩は、太陽や月の光が差別なく照らすように人々を優しく見守る仏様なの。
本尊薬師如来よりも肉付きは控えめなものの、腰のくびれや流れるような姿勢は美しく、手を合わせる人々を魅了するよ。
花の装飾をデザインした宝冠や胸元の瓔珞(ようらく)には、ガラスが嵌められてたと考えられているの。
現在ガラスは失われているものの、古代の技術の高さを感じられるね。
<薬師如来台座(国宝)>
薬師如来台座は、薬師如来が座る宣字形の台座だよ。
類例を見ない意匠を凝らしたものとして有名で、ギリシャ由来の葡萄唐草文様やペルシャの蓮華文様が描かれているの。
さらにインドから伝わった神の像や中国の四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)が彫刻されていて、シルクロードによって西洋と結ばれていた奈良の国際性を表しているんだよ。
<吉祥天女画像(国宝)>
吉祥天女画像は天平時代のもの。
吉祥天女は仏教を守護し五穀や財宝などを与えて幸せをもたらす美しい女神なんだ。
奈良時代、吉祥天女の功徳を説く「金光明最勝王経」が厚く信仰され、お正月に行われる修正会の本尊として吉祥天女が多く造像されたんだ。
薬師寺にある吉祥天女画像(国宝)は、薬師寺の修正会の本尊として描かれた最古の画像なの。
現在は、1月1日~3日の3日間だけ参拝できるんだよ。
【ここは見ておきたい!薬師寺のおすすめスポットとは?】
<金堂>
金堂は薬師寺の中心のお堂で、本尊薬師三尊像(国宝)をお祀りしているよ。
『今昔物語集』によると薬師寺金堂には僧侶であっても入堂が許されず、特別なお堂だったと伝えられているんだ。
享禄の兵火(1528年)により焼失してしまい、現在の金堂は昭和51年(1976年)に再建。
二階建てで、上層にはお写経が納められた納経蔵があるの。
<東塔>
薬師寺は1300年の歴史を誇る古いお寺だけど、その中で薬師寺創建当初から唯一現存しているのが「東塔」なんだ。
730年創建で、平城京最古の建造物である東塔は日本の国宝に指定されているよ。
東塔には屋根が6つあり、内部は三層になっている三重塔。
下から1,3,5番目の小さな屋根は裳階(もこし)と呼ばれる飾り屋根で、各層に裳階がつけられた塔は薬師寺だけなの。
屋根の大小がおりなすバランスは美しく、「凍れる音楽」とも呼ばれているんだ。
東塔相輪上部の水煙は、他の塔のものと比べて、デザイン性に富んだものになっているよ。
東塔は何度も部分的な修理が行われてきたんだけど、平成21年(2009年)より史上初の全面解体修理に着手し、令和3年2月15日竣工したんだ。
<大講堂>
奈良にある古いお寺では、修学道場である講堂が建てられ、講堂に僧侶たちは集まって仏教の教義について学んでいたんだ。
薬師寺の講堂はその大きさから「大講堂」と呼ばれているの。
大講堂の創建時、高さ約9m、幅6.5mの阿弥陀三尊繍仏が本尊として祀られたんだ。
しかし大講堂は享禄の兵火(1528年)によって焼失し、この阿弥陀三尊繍仏も失われてしまうよ。
平成15年(2003年)に創建当初の規模で大講堂は再建されたんだ。
大講堂には重要文化財の弥勒三尊像が祀られているほか、国宝の仏足石や仏足跡歌碑が安置されているよ。
<西塔>
薬師寺は日本で初めて東西に2つの塔を建立しているんだ。
創建当初から残っている東塔とは違い、西塔は享禄の兵火(1528年)により焼失してしまったよ。
その後西塔は、昭和56年(1981年)に再建。
創建当初と同じ鮮やかな青丹の色と金色の飾り金具に彩られて美しいコントラストを楽しめるよ。
<食堂>
食堂は僧侶が食事をするための建物で、約300人が入る規模だったと言われているよ。
『薬師寺縁起』によると薬師寺の食堂の規模は東大寺、大安寺に次ぐ大きさとされているんだ。
平成29年(2017年)に三度目の再建が行われ、外観は奈良時代の意匠を凝らした作りになっているよ。
<休ヶ岡八幡宮>
薬師寺南大門の南側にある休ヶ岡八幡宮は、重要文化財に指定されており、薬師寺を守護。
社殿は慶長年間、豊臣秀頼によって建てられたものなんだ。
ご神体の八幡三神像(神功皇后、僧形八幡神、仲津姫命の三体)は平安時代初期の神像で、国宝に指定されているの。
<玄奘三蔵院伽藍>
玄奘三蔵は孫悟空が活躍する「西遊記」で三蔵法師のモデルになった人物で、中国唐時代の僧侶だよ。
玄奘三蔵の骨の一部をお祀りする玄奘三蔵伽藍は、1991年に建立。
平山郁夫画伯が約20年かけて描いたとされる玄奘三蔵の旅をたどる「大唐西域壁画」は圧巻だよ。
ぜひ見てみよう。