奈良時代の代表的な建築物・唐招提寺は鑑真和上の私寺だった?
2021年11月7日日本一小さな五重塔が有名?室生寺を訪れたら絶対に見ておきたいおすすめスポットを解説
2021年11月8日
奈良県宇陀市にある室生寺は、女人の参詣が禁じられていた高野山とは違い、古くから女性の参拝ができたため「女人高野」として親しまれているんだ。
ここでは、女性に人気のお寺・室生寺についてまとめてみよう。
目次
【室生寺とは?】
奈良県北東部の奥深い山と渓谷に囲まれた宇陀・室生エリアにある室生寺は、真言宗室生寺派の大本山だよ。
奈良市内からは車で1時間ほどの距離なんだ。
奈良時代末期に、東宮(のちの桓武天皇)の病気平癒を願った興福寺の高僧・賢憬が創建したの。
現在の寺観を整えたのは、賢憬の弟子である修円と言われているよ。
創建に関しては、白鳳9年(680年)という説と、天平時代後半(770~780年)という説があるんだ。
その後、室生寺は一時衰退するものの、江戸時代の元禄年間に5代将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院の庇護を受けて再興されたよ。
この頃から、同じ真言宗で女人禁制だった高野山・金剛峰寺に対し、室生寺は女人の参詣を許可したそう。
そのため「女人高野」と呼ばれ、女性の信仰を集めていくよ。
【女性に人気の室生寺】
高野山では女人禁制であったのに対し、室生寺では早くから女性の参拝を認めていたんだ。
そのため室生寺は「女人高野」として、多くの女性から親しまれているの。
現在でもその流れは続いていて、室生寺は女性からの人気が圧倒的に高いんだ。
春の桜やシャクナゲ、秋の紅葉、雪景色など四季を通じて変わるお寺の美しさや、柔らかな表情をした仏像、日本最小サイズの五重塔など女性の気持ちを和ませてくれるスポットが随所にあるよ。
その中でも国宝にも指定されている五重塔を見るために、日本全国から多くの参詣客が訪れているそう。
【本堂・潅頂堂(かんじょうどう)で行われる儀式は仏様との縁結び?】
室生寺の本堂である潅頂堂では、真言宗の重要な儀式である潅頂が行われるんだ。
この「潅頂」とは、仏様と縁を結ぶための儀式のこと。
壇の上に曼荼羅を敷いて、樒(しきみ)の葉を持って目隠しをし、曼荼羅の上に落とすの。
その葉が落ちた位置に描かれている仏様と、縁が結ばれるというものなんだよ。
一般の人が行う「結縁潅頂」、僧が修行を始める際に行う「受明潅頂」、僧が修行を終える際に行う「伝法潅頂」など、潅頂にはさまざまな種類があるんだ。
この儀式を行うため、本堂・潅頂堂には明かりとりの窓はないの。
正面の蔀戸をおろすと、お堂内はほとんど暗闇となる構造になっているんだよ。
本堂・潅頂堂の内陣には普段は白い曼荼羅が掲げられているんだけど、儀式の際には、室町時代から伝わる色彩された曼荼羅が使われているんだ。
さらに室生寺には、潅頂の際に用いられる法具が今も現存しており、金銅密教法具にいたっては、大壇から四面器まで、儀式に使用する法具のすべてが揃うよ。
この儀式に使用する法具は、延慶元年(1308年)のものなんだ。
鎌倉時代のものが一式で残っているのは日本唯一であり、非常に貴重だよ。
潅頂で用いられる曼荼羅に関しては、特別拝観の際に拝見することができるんだ。
【如意山に今眠る空が遺した如意宝珠とは?】
日本最小の五重塔の西側の山は如意山と言って、真言宗派のお寺にとってはとても重要な場所なんだ。
この如意山の頂上には、弘法大師・空海が師事する恵果阿闍梨より授かった如意宝珠が埋められているという伝承が残っているの。
如意宝珠とは、如意輪観音が持っている「あらゆる願い事を叶えてくれる」ありがたい玉のこと。
昭和21年(1946年)に実施された如意山頂上の石造納経塔の調査では、琥珀玉や巻物、当時の貨幣などが見つかっているんだ。
如意宝珠が見つかった如意山と室生寺は、真言宗にとってとても大きな意味を持った場所であること分かるよね。
同じ真言宗の大寺院でも、儀式の際には室生寺がある方角に向かって拝むことがあるそう。
【室生寺はシャクナゲの寺としても有名】
室生寺はシャクナゲのお寺として有名なんだ。
高山植物であるシャクナゲにとって、海抜400mに位置する室生寺の湿度と適度な寒さは最適な環境なんだ。
境内には約3000本ものシャクナゲが育てられているそう。
例年ゴールデンウィークの頃(4月中旬~5月中旬)に、自然石が敷き詰められた石段の鎧板から五重塔にかけて、道の両側に淡いピンクのシャクナゲが咲き誇るよ。
これらのシャクナゲは昭和時代初期に信者の手によって、御杖村から移植されたものと伝えられているんだ。
【室生寺にある優美な仏像たち】
室生寺には室生寺様と呼ばれる漣波式彫法を用いた美しい衣文の仏像や、平安時代初期の特徴を備えた仏像など、国宝や重要文化財に指定された希少な仏像が数多く安置されているの。
ここでは室生寺にある仏像たちをいくつかまとめてみよう。
<如意輪観音菩薩(重要文化財・平安時代中期・本堂)>
本堂正面の厨子に安置されている如意輪観音菩薩は、穏やかな作風の榧(かや)の一木造りの仏像。
観心寺・神咒寺の如意輪観音とともに「日本三如意輪」の1つと称されているよ。
<中尊 釈迦如来立像(国宝・平安時代前期・金堂)>
金堂にある中尊 釈迦如来立像は、平安時代前期を代表する堂々とした均整の取れた榧(かや)の一木像。
本来は薬師如来として造像されたものだそう。
朱色の衣の流れるような衣紋は、漣波式と呼ばれる独特なもので「室生寺様」とも称されているんだ。
<薬師如来立像・文殊菩薩立像(重要文化財・平安時代・金堂)>
金堂に安置されている5体の立像の中で、本尊の両側に置かれているのが薬師如来立像・文殊菩薩立像の二体だよ。
どちらも10世紀頃の一木造りで、大きさや作風に相違があるため、江戸時代中期に他の堂から移された像ではないかと考えらえているんだ。
<十二神将立像(重要文化財・鎌倉時代・金堂)>
金堂にある十二神将立像は、薬師如来の従者として、昼夜12時に12の方位を守る像。
頭上には十二支の動物が付いているんだ。
誇張された自由な姿は、鎌倉時代中期の特色で、その代表作と言えるよ。
<弥勒菩薩像(重要文化財・奈良時代末期・弥勒堂)>
弥勒菩薩像は弥勒堂の本尊で、須弥壇上の厨子内に安置されているよ。
壇像風の小像は榧の一木造りで、両手、天衣、瓔珞なども含めて一材から刻まれているんだ。
<十一面観音菩薩立像(国宝・平安時代前期・寳物殿)>
国宝に指定されている十一面観音菩薩立像は寳物殿に安置されているよ。
上品で端正な顔立ちは女性的な優しさを感じるものの、体躯はしっかりとして引き締まっているのが特徴。
本尊の本来の脇侍として造られたものであると考えられているよ。
「八重蓮華座」と呼ばれる像の美しい台座は、平安時代前期の様式を良く伝えているの。
<釈迦如来坐像(国宝・平安時代前期・寳物殿)>
釈迦如来坐像は、弥勒堂に客仏として本尊の左方に安置されていた像。
榧の一木造りで、平安時代前期彫刻の白眉として知られているよ。
どっしりと安定した姿に、引き締まった穏やかな表情をしており、翻波式衣紋は明快。
住所
奈良県宇陀市室生78
アクセス
奈良交通バス「室生口大野駅」~「室生寺前」
室生寺前バス停下車、徒歩約5分
所要時間 約14分