紫式部や紀貫之など文化人も訪れた「長谷寺」は四季折々の花が楽しめる花の御寺
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2021年10月27日花の御寺として、訪れる人を楽しませてくれる奈良・長谷寺。
今回は、長谷寺で絶対に訪れておきたいおすすめスポットを解説してみよう。
【長谷寺のおすすめ参拝スポットを徹底解説♪】
花の御寺・長谷寺には訪れておきたいスポットがたくさんあるよ。
ここでは長谷寺の魅力に迫るおすすめの見どころをご紹介しよう。
<仁王門>
長谷寺の山門である「仁王門」は重厚で、前に立つとその大きさに圧倒されるよ。
重厚な造りの屋根は、とても迫力があるんだ。
仁王門が建立されたのは一条天皇在位中の西暦986~1011年の間。
現在の門は、明治27年(1894年)に再建されたもので、重要文化財に指定されているよ。
仁王門は長谷寺の総門であり、三間一戸入母屋造本瓦葺の楼門なんだ。
両側には仁王像、上階には釈迦三尊十六羅漢像が安置されているよ。
また門の東側には5月中旬~6月中旬まで藤の花が見頃を迎えるんだ。
<登廊>
仁王門をくぐると、屋根付きの階段「登廊(のぼりろう)」があるよ。
平安時代の長暦3年(1039年)に、奈良にある春日大社の社司・中臣信清が、我が子の病気平癒を長谷寺に祈願したところ無事に回復したことから、その御礼にこの登廊を寄進したそう。
重要文化財に指定されており、特徴的な形をした風雅な長谷型燈籠が吊るされているんだ。
この長い階段は、上登廊、中登廊、下登廊の3廊に分かれていて、総数は全部で399段。
中登廊と下登廊は、明治27年(1894年)に再建されたものなの。
下登廊では1段の段差が低いものの、中登廊、上登廊と続くほどに、段差が高くなっていくよ。
登廊では、1~2月には冬牡丹、4月下旬~5月下旬には牡丹の花を観賞できるスポットなんだ。
<長谷六坊>
下登廊の途中には、長谷六坊と呼ばれる「歓喜院」「宗宝蔵(清浄院)」「梅心院」「月輪院」「慈眼院」「金蓮院」の六つの子院があるよ。
この6つの院は、江戸時代には長谷寺の運営においてとても重要な役割を持っていたそう。
・歓喜院
子弟教育を含めて様々な目的に使用される昭和寮を併設。
4月上旬~中旬には初瀬桜、夏にはキョウチクトウの花を楽しめるよ。
・宗宝蔵(清浄院)
清浄院の跡地に建つ宗宝蔵は、長谷寺の宝物庫として建立されたんだ。
春と秋に開扉して長谷寺に伝わる国宝・重要文化財の宝物公開を行っているよ。
・梅心院
僧侶を養成するための学校があるよ。
・月輪院
紀貫之の叔父である雲井坊浄真が、この周辺に住んでいたことにちなんだ雲井寮を併設しているそう。
<二もとの杉>
下登廊の途中にある宗宝蔵と月輪院の間の小道を右へ曲がってしばらく歩くと、「二もとの杉」が見えてくるよ。
この杉は、2本の木の根元が重なり、高くそびえ立っているんだ。
この二もとの杉は『古今集』では「初瀬川古川のべにある二本(フタモト)ある杉」という歌で登場。
さらに『源氏物語 玉鬘』では、「二本の 杉の立ちどを 尋ねずは ふる川のべに君を見ましや」と歌われているよ。
また二もとの杉周辺では、2~3月頃に梅の花や椿が見頃を迎えるの。
<石碑「藤原俊成碑・定家塚」>
二もとの杉からさらに奥に進むと、石碑「藤原俊成碑・定家塚」があるよ。
この石碑は、鎌倉時代初期の歌人である藤原俊成と、その息子であり藤原定家を供養する石碑なんだ。
藤原定家は『新古今和歌集』や『小倉百人一首』の撰者でもあり、「年も経ぬ いのるちぎりは 初瀬山 尾上の鐘の よその夕暮れ」という歌を詠んでいるよ。
古くは長谷寺の参道入口はこの石碑付近にあっと言われているんだ。
<天狗杉>
下登廊をのぼりきったところには「天狗杉」と呼ばれる杉があるよ。
この杉の名前は、長谷寺第14代住職であった英岳の小僧時代のある逸話から付いたと言われているよ。
英岳師が登廊に下がる灯篭に明かりを灯していたところ、夜になると天狗が現れ明かりを消して歩くいたずらをしていたそう。
これに発奮した英岳師がますます修行に励んだことで、その後住職へと進むことになったと言われているんだ。
境内の諸堂を修繕する際には、この周辺にあった杉を伐採して用材に用いようとしたものの、「住職になれたのも天狗のおかげ」とこの天狗杉を一本残したといわれているの。
ただ、天狗の正体は実はムササビだったそう。
<蔵王堂>
中登廊を登りきると、蔵王堂があるよ。
この蔵王堂あたりに、吉野山から虹がかかり、その上を三体の蔵王権現が歩いて長谷寺までやってきたという逸話があるんだ。
そのことから、この場所に尊像を祀っているの。
蔵王権現は、役行者が吉野・金峯山寺で修行中にお告げを得たという憤怒形の仏で、金峯山寺の蔵王堂に祀られている弥勒・釈迦・千手観音と同じ三体を祀っているよ。
<縁結びの社>
蔵王堂のすぐそばにある縁結びの社は、諸国を行脚する西行法師と、その妻であった尼僧が、観音様のお導きによってこの場所で再会を果たしたことから建立されたんだ。
<貫之の梅>
縁結びの社の近くには「貫之の梅」と呼ばれる梅の木があるよ。
幼少期を長谷寺で過ごした紀貫之が、叔父・雲井坊浄真を訪ねて再訪した際に「人はいさ心も知らず故郷は花ぞ昔の香ににほひける」と詠んだそう。
その返歌として、叔父・雲井坊浄真は「花だにも同じ色香に咲くものを植ゑんけん人の心しらなむ」と詠んだのにちなんで、「貫之の梅」と名付けられたんだ。
この場所付近では、2~3月にかけて梅や椿の花が咲くよ。
貫之の梅をさらに奥へ進むと、小林一茶の句碑もあるからチェックしてみよう。
<愛染堂>
上登廊を最後まで登りきると、正面の奥に見えるお堂が愛染堂だよ。
この愛染堂は、天正16年(1588年)に、観海上人が再建したもの。
内陣には愛染明王像が安置されているよ。
<本堂(観音堂)>
国宝に指定されている本堂は、小初瀬山中腹の断崖絶壁に懸造り(舞台造り)された南面の大殿堂だよ。
京都にある清水寺も同じく懸造り(舞台造り)の建築方法で同じなの。
舞台からの眺望は雄大そのもので、愛宕山が見えて、初瀬の山々の景色を一望できる長谷寺隋一のビュースポットして人気なんだ。
特に、舞台部分からの五重塔の眺めが最高なんだ。
また、紅葉のシーズンに、本堂の舞台から見る紅葉&五重塔のコラボは見事だよ。
正面(内陣)は間口の柱間九間、梁間五間、入母屋造本瓦葺。
礼堂(外陣)は正堂よりやや低く、柱間九間、梁間四間、正面入母屋造本瓦葺となっているよ。
正面(内陣)の中にはご本尊・十一面観世音菩薩像が祀られているんだ。
無限の慈悲を秘めたまなざしをしている十一面観世音菩薩像は奈良時代に徳道上人が造立。
右手に錫杖、左手に水瓶を持っているよ。
度重なる火災で炎上しているものの、頂上仏のみが焼け残ってきたと言われているの。
現在の十一面観世音菩薩像は、天文7年(1538年)に仏師運宗らによって造立されたものだよ。
観音像の裏手には、来迎図が描かれていて、裏に回って来迎図を拝んで極楽往生を願うの。
内舞台の南西角は、極楽の入口として信仰を集めていたそう。
また、内舞台に掲げられた西側と東側の絵馬は、もともとは一枚だったんだ。
西の絵馬の牛若丸と、東の絵馬の弁慶が、夜ごとに絵から抜けだして大立ち回りをするため、二つの絵馬として分けたと言い伝えられているよ。
おすすめのフォトスポットと言えば、大きな長谷型提灯が吊るされる礼堂だよ。
礼堂の床に新緑が映りこむ「床みどり」はとても美しく、インスタ映えすると人気なんだ。
また新緑を背にした賓頭盧(びんずる)像のシルエットも印象的だよ。
この賓頭盧(びんずる)像は、撫でると除病の功徳があるとされているから、祈りを込めて撫でてみよう。
新緑の季節は「床みどり」だけど、秋になると真っ赤に染まる「床もみじ」を楽しめるよ。
紅葉の時期にぜひとも訪れておきたいインスタ映えスポットだね。
<本坊>
事相、教相の根本道場である大講堂や書院などがある本坊は、寛文7年(1667年)に徳川将軍の寄進で建立されたものの、明治44年(1911年)に炎上。
現在の堂宇は大正13年(1924年)に再建されたもので、重要文化財に指定されているよ。
総檜造りの大殿堂なんだ。
<五重塔>
長谷寺の五重塔は昭和29年(1954年)に戦没被災者慰霊のために建立されたもので、戦後日本に初めて建てられた五重塔なんだ。
「昭和の名塔」とも呼ばれていて、内部には、本尊・大日如来を祀っているの。
純和洋式の整った形の五重塔は、塔身の丹色と相輪の金色、軽快な檜皮葺屋根の褐色は、背景との調和がばっちりで光彩を放っているよ。
5月中旬~6月上旬には西洋シャクナゲの花が五重塔の下で咲くの。
また11月中旬~12月上旬には五重塔の周囲には見事な紅葉を見ることができるんだ。
<三重塔跡>
本堂から西にある五重塔のすぐそばには三重塔跡があるよ。
長谷寺の三重塔は、明治9年(1876年)に落雷によって焼失したんだ。
<本長谷寺>
天武天皇の勅願によって、道明上人がここに精舎を造営したことから、今の本堂に対し「本長谷寺」と呼ばれているよ。
朱鳥元年(686年)に、道明上人が天武天皇の御病気平癒のため「銅板法華説相図」を鋳造し、本尊としてお祀りしたそう。
<本願院>
五重塔側の階段を下りていくと、本願院があるよ。
この本願院は、長谷寺を開山した徳道上人が晩年に住居した跡とされるよ。
元々は聖武天皇の勅願寺であったそう。
7月下旬~10月上旬にかけては、本願院の下付近にはフヨウが咲くの。
また、9月下旬~10月中旬には紅白の萩が見頃を迎えるよ。
<開山堂>
本願院から休憩所の前を通り歩いていくと、開山堂があるよ。
開山堂には、長谷寺を開いて西国三十三所巡礼を始めた徳道上人が祀られているんだ。
住所
神奈川県鎌倉市長谷 3-11-2
アクセス
電車の場合
● JR 横須賀線、鎌倉駅下車
→バス「長谷観音」下車、徒歩5分
または
→江ノ電「長谷駅」下車、徒歩5分
●小田急線、藤沢駅下車
→江ノ電「長谷駅」より徒歩5分
車の場合
横浜横須賀道から朝比奈I.C.下車
県道204号にて30分