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2022年1月23日
鎌倉にある浄智寺は「鎌倉五山」第四位のお寺で、鐘楼のある山門と苔むした参道の階段が魅力的なお寺だよ。
今回は浄智寺の魅力に迫ってみよう。
目次
【浄智寺とは?】
浄智寺は臨済宗円覚派の禅宗寺院で、その創建は円覚寺と同様の時期と言われているよ。
この頃から14世紀後半の南北朝時代にかけてが、鎌倉にある禅宗寺の最盛期になるんだ。
かつては大いに栄えた浄智寺だけど、現在は総門・山門(鐘楼)・庫裏・仏殿など一部の建物を残すのみとなっているの。
山門は鐘楼を兼ねた珍しいもので、1340年(歴応3年)には銅鐘が置かれているよ。
近くにある他の鎌倉五山に比べると、自然が深く素朴な印象があるお寺なんだ。
境内は国の史跡に指定されていて、寺域は源氏山ハイキングコースにある天柱峰まで広がっているよ。
その境地は文化人に好まれていて、映画監督の小津安二郎、日本画家の小倉遊亀などが暮らしていたそう。
また、境内の墓地には作家・澁澤龍彦や、批評家の渋沢龍彦など文化人が眠っているんだ。
【浄智寺の歴史とは?】
浄智寺は、鎌倉幕府第5代執権であった北条時頼の三男・北条宗政が亡くなり、その菩提を弔うために宗政の妻や一族が1281年(弘安4年)頃に創建されたのが始まり。
その当時、中国の宋から渡来僧が多く、浄智寺最盛期には七堂伽藍を備えて、塔頭も11寺院に達したそう。
現存する鐘楼門や本堂の様子などからも、「宋風」と呼ばれる、当時の中国様式をうかがうことができるよ。
1323年(元享3年)に行われた北条貞時13回忌の際に参加した僧侶は200人を超え、建長寺、円覚寺、寿福寺の三寺に次ぐ規模だったんだ。
1356年(延文元年)には火災で焼失したものの、早い段階で再建され、室町時代には鎌倉五山第四位に格付けされたよ。
しかし江戸時代以降になると、浄智寺は衰微していき、1923年(大正12年)の関東大震災でも大部分の伽藍が倒壊するなど、大きなダメージを受けてしまうんだ。
現存している建物の多くは、昭和になってから再建されたものになるよ。
【浄智寺のご本尊】
浄智寺の本尊は「木造三世仏坐像」で神奈川県の重要文化財に指定されているよ。
南北朝時代作のもので、仏様の両脇に垂れた長い衣や、床の黒い敷瓦などは中国から伝わった「宋風」となっているの。
この宋風は鎌倉地方に多くみられる様式で、鎌倉仏の特徴をよく表しているんだ。
左から「阿弥陀如来」「釈迦如来」「弥勒如来」の各如来像で、それぞれ「過去」「現在」「未来」の時を表しているの。
それぞれ過去・現生・未来の三世にわたって、人々の願いを聞き入れてくださるというありがたい仏様なんだよ。
本堂の「曇華殿(どんげでん)」という名は、3000年に一度だけ咲くと言われる伝説の優曇華の花に由来しているの。
つまり、この三世仏にお参りをすることは、それくらいありがたいことであるという顕れなんだ。
阿弥陀如来像の手は定印(悟りを開いた時の心の安定を表わす)を結んでいて、釈迦如来は右手が下、弥勒如来は左手が下と、少しずつ違っているの。
この木造三世坐像は一度火災で焼失しており、今の像は南北朝時代に作られたもの。
また、境内奥の洞窟には彌勒菩薩の化身と言われている「布袋尊」の石像が祀られているよ。
ちなみにこの布袋尊は、鎌倉江ノ島七福神のひとつでもあるんだ。
【浄智寺のおすすめ参拝スポットとは?】
浄智寺境内にある参拝しておきたいおすすめスポットをまとめてみよう。
<山門(総門)>
浄智寺の山門は、円覚寺開山の無学祖元の筆とされる「寶所在近」の文字が掲げられているよ。
寶所在近とは、「仏を信じ、修行を積めば心の平穏が得られる」という仏の教えなんだ。
深い木々に囲まれた場所にあり、その先には石段が伸びているんだ。
<甘露の井>
甘露の井は、山門の手前にあり、鎌倉十井の1つとされる井戸だよ。
密のように甘く、仏徳で授かる霊水で不老不死の効能があると言われているんだ。
海が近い鎌倉では水質のよい水はとても貴重なものであったそう。
現在は飲み水としては使用されていないので、飲まないように注意しよう。
<鐘楼門>
山門の奥にあるのが鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門で、上層が鐘楼を兼ねる重層一間一戸の珍しい作りになるんだ。
鐘楼門とは鐘つき堂を兼ねた山門であり、1階には山門、2階には花頭窓と呼ばれる花形が印象的な窓と梵鐘が下げられているの。
現在の鐘楼門は2007年に再建されたもので、「山居幽勝」の額が掲げられているよ。
花頭窓のある2階上層には1649年(慶安2年)に鋳造された梵鐘が吊るされているんだ。
<本堂 曇華殿>
本堂である曇華殿(どんげでん)は仏殿だよ。
御本尊である木像三世仏坐像が祀られているんだ。曇華殿の後ろ側には鎌倉三十三観音霊の一つである観音菩薩像も祀られているよ。
<書院>
大正3年に建てられた茅葺の建物。
茅葺屋根の素朴な外観が魅力で、庭園側から見ても正面から見ても実に美しい佇まいをしているよ。
非公開であるものの、外から中を見ることができるの。
書院の前に広がる庭園には、コスモス、アヤメ、月見草、梅など四季折々の花が咲き誇り、風情を醸し出してくれるんだ。
<布袋尊>
境内奥にあるやぐらに安置されている鎌倉七福神の1つである布袋尊は、福徳円満のご利益があると言われているよ。
誰にでも愛されるお姿をしていて、おなかを撫でると元気がもらえるそう。
多くの参拝者に撫でられているため、布袋尊のおなかはツルツルしているんだ。
<やぐら>
やぐらとは鎌倉石と呼ばれる柔らかい凝灰質砂岩でできた山肌を、掘り込んで造った祠。
やぐらは当時の僧侶が修行に使ったとされており、地位の高い人のお墓にもなったんだ。
このやぐらは、中世鎌倉に特徴的な墓の形で、平地が少ない鎌倉エリアの特徴的な遺跡の1つなの。
浄智寺の墓所近くにはいくつもやぐらがあり、たぬきの像がたっているよ。
<天柱峰>
天柱峰は、中国の元から日本に来た臨済宗の高僧・竺仙梵僊が名付けた丘。
ちなみに天柱とは「世を支える道義」という意味なんだ。
浄智寺境内横にある葛原岡・大仏ハイキングコースを登っていくと、天柱峰に着けるよ。
天柱峰の山頂には昭和16年に建立された「天柱峰碑」があるの。
<コウヤマキ>
仏殿の脇にあるコウヤマキは鎌倉第一の巨木なんだ。
鐘楼前のビャクシンとこのコウヤマキは、鎌倉市指定文化財になっているよ。
【住所とアクセス】
住所
鎌倉市山ノ内1402
アクセス
JR 横須賀線 北鎌倉駅 徒歩8分