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2021年12月6日
奈良にある奈良豆比古神社は、能楽の原型と言われる重要無形民俗文化財「翁舞」で知られる神社だよ。
また、天然記念物に指定された樹齢1300年を超える樟の巨樹があることでも有名なんだ。
ここでは、奈良豆比古神社の魅力についてまとめてみよう。
目次
【奈良豆比古神社とは?】
奈良豆比古神社は京都府と奈良県の県境に近い、奈良市街地(きたまちエリア)の北端部、京街道に面する由緒ある神社だよ。
境内は美しく保たれていて、現在も20年おきに遷宮儀式が行われており、奈良阪エリアの地域住民から厚い信仰を集めているんだ。
【奈良豆比古神社の御祭神は?】
奈良豆比古神社の創建は奈良時代のこと。
そもそもこの地は奈良山春日離宮の跡地なんだ。
第49代光仁天皇の父・施基皇子(志貴皇子)が病気の療養のために春日離宮に隠居をしていたことが縁となって、宝亀2年(771年)に施基皇子(志貴皇子)を祀ったのが奈良豆比古神社のはじまりだよ。
御祭神は、本殿では左殿に創建の由来となった施基皇子(志貴皇子)、中殿には平城津比古大神(奈良豆比古大神)、右殿には春日王(志貴皇子の子)を祀っているよ。
次にそれぞれの祭神についてまとめてみよう。
<平城津比古大神(奈良豆比古大神)>
平城津比古大神(奈良豆比古神)は、奈良阪地区の土地の神で、奈良山で古くから祀られてきた産土神。
<施基皇子(志貴皇子)>
施基皇子(志貴皇子)は天智天皇の第七皇子であり、第49代光仁天皇の父にあたるよ。
施基皇子(志貴皇子)は万葉歌人としても有名だよね。
<春日王>
施基皇子(志貴皇子)の第二皇子であり、白壁王(のちの光仁天皇)の兄弟にあたるよ。
奈良豆比古神社は10月8日に奉納される伝統芸能で、能楽の原型とも言われる「翁舞」が有名なことから、「歌舞音曲を司る神」とされているんだ。
そのため、歌唱や楽器演奏、演劇などの芸能向上にご利益があるとされているよ。
全国から、芸能関係、音楽関係の人たちが多く参拝にくる神社なの。
【能楽の原型とも言われる重要無形民俗文化財「翁舞」が有名】
奈良豆比古神社と言えば、毎年10月8日に奉じられる翁舞が全国的にも有名だよ。
この翁舞は、国の重要無形民俗文化財にも指定されていて、中世以来の古い形態が残されているんだ。
そのため、能楽の源流に位置する民俗芸能と言われていて、日本の芸能史を語る上で非常に貴重なんだよ。
奈良豆比古神社の翁舞は、施基皇子(志貴皇子)の息子・春日王の病気平癒を願って、春日王の息子・浄人王が舞ったのが起源とされているの。
祭神である春日王は、芸能の神様として役者たちの深い信仰を集めていて、長きにわたって歌舞音曲の発展に貢献したんだ。
翁舞が演じられるのは、奈良豆比古神社の秋祭の宵宮にあたる10月8日の夜8時。
当日は15世紀以前に製作された「面」を実際に着用して、翁舞が行われるんだ。
いくつかの演目があるので、それぞれまとめてみよう。
<千歳の舞>
舞の演者や囃し方が拝殿に着席すると、まずは前謡が謡われるよ。
その後、舞台に立つのが「千歳の舞」なんだ。
「千歳の舞」は、13歳前後の少年(千歳)が演じるように決められているの。
<太夫の舞>
「千歳の舞」が終わると、翁役の太夫がお面をつけ、いよいよ翁舞を演じるよ。
翁舞は天下泰平を祈願する舞とされているんだ。
この太夫がつけている翁の面が、室町時代に製作されたものなの。
このお面は普段は奈良国立博物館に収蔵されているものだそう。
<翁三人舞>
太夫が1人で舞った後、さらに脇に2人の翁が太舞の舞に加わるんだ。
「翁舞」のメインとなる「翁三人舞」は奈良豆比古神社の翁舞の特徴の1つで、民族芸能史上きわめて貴重な舞とされているの。
<三番叟(さんばそう)と千歳の問答>
三人舞を終えた翁たちは退場し、代わって三番叟(さんばそう)が舞台にたつよ。
この三番叟は、五穀豊穣を祈る舞とされていて、翁舞と同様に日本各地にその舞が伝えられているんだ。
全国的に伝わる三番叟の中でも、奈良豆比古神社の三番叟は、一風変わった特徴があると言われているよ。
まず三番叟はお面をつけずに舞を舞うんだ。
その後に、面を付けて先ほど舞を舞った千歳と問答を行うの。
この千歳と三番叟の問答場面では、一方が相手の方を向けば、もう一方は別の方を向いて問答を行うんだ。
両者が対面せずに問答を行う形式というのは、三人舞と同じく奈良豆比古神社の翁舞だけに見られる特徴なんだよ。
<三番叟(さんばそう)の舞>
千歳との問答を終えた三番叟は、鈴を片手に舞を舞うよ。
その鈴を鳴らして舞台を踏みしめ、体を大きく揺らしながら舞うんだ。
これは農耕の所作を表しているとされていて、五穀豊穣を祈っているの。
この三番叟の舞で翁舞は終了となるよ。
所要時間は1時間ほどで、境内でかがり火がたかれる中で演じられるんだ。
詩や舞は口伝の形で伝わっていて、今でも保存会の方たちによって演じ続けられているそう。
【奈良豆比古神社のパワースポット・樟の巨樹】
奈良豆比古神社のパワースポットとして知られているのが、本殿の裏手にある樟(くすのき)の巨樹。
推定樹齢は1300年と言われていて、想像以上の大きさと厳かで神秘的な雰囲気に圧倒されるよ。
天然記念物にも指定されている樟の巨樹は、視線の高さの太さは約7.5m、樹の高さ約30m、枝張り約20mで、地面から出た部分が周囲約12.8mもあるそう。
地上約7mのところで南北二枝幹に分岐し、更に北枝幹は3m、南枝幹は4mのところでそれぞれ二分岐しているんだ。
樹姿は極めて良く、類例の少ない巨樹とされているよ。
樟の周りには窪地に合わせて階段があって、神社の境内を1周できるように小道が配されているの。
階段を下って、下から樟を見上げてみると、その迫力に息をのむほどの大きさなんだ。
奈良豆比古神社のパワースポットである樟の巨樹は、参拝した際には必ずチェックしておきたいね。
【奈良豆比古神社のおすすめ参拝スポットを徹底解説】
奈良豆比古神社の境内は、本殿前に「翁舞」が奉じられる舞台「舞殿」が設けられていて、その周りを社務所や寄合所を取り囲んでいるの。
このような構図はなかなかなく、まさに翁舞のために作られた空間のように感じられるよ。
ここでは、奈良豆比古神社の境内で訪れておきたいスポットをいくつか紹介するね。
<拝殿(舞殿)>
神門からまっすぐに伸びる内参道には、屋根がかけられ釣灯篭が吊り下げられているの。
この花道のような設えの先には「翁舞」を奉じるための舞台である拝殿があるよ。
通常時は人影も少なくひっそりとした風情漂う場所なんだけど、10月18日に行われる例祭ではかがり火が焚かれた中で面をつけた男たちが舞う姿を堪能できるんだ。
<本殿>
翁舞が披露される拝殿の西側すぐの位置には本殿が並んでいるよ。
一番高い場所に、春日造りの3つの本殿が立ち並んでいて、施基親王、平白津比古大神、春日王の三柱が祀られているよ。
中央の本殿には平白津比古大神(奈良豆比古神)をお祀りしているんだ。
本殿前にはかわいらしい狛犬が鎮座しているから、そちらのお顔もチェックしておこう。
<境内社>
奈良豆比古神社にはいくつかの境内社があるよ。
・弁財天社(厳島神社)
境内の東側、京街道沿いに近い場所にある弁財天社は、市杵嶋姫命(弁財天)を祀る祠だよ。
弁財天は仏教の神で、神仏習合の時代において神道の神「市杵嶋姫命」と習合したんだ。
明治維新前後の神仏分離政策により、弁財天を祀っていた神社は祭神名が「市杵嶋姫命」に変更したという経緯があるよ。
弁財天は芸能の神であり、財福の神でもあるの。
・恵比須社(蛭子社)
弁財天社の向かい側には恵比須社があるよ。
こちらも七福神の「恵比寿神」を祀っているんだ。
恵比寿神は、大漁の神・商売繁盛の神として全国の恵比寿神社に祀られている神様として有名だよね。
・毘沙門天王社
毘沙門天王社は、小さな祠の内部に石仏が設けられているよ。
毘沙門天は仏教における四天王の一人で七福神の一員。
甲冑に身を包み「邪鬼」を踏んづける姿で表されることが多いんだ。
・大福者
福の神である大国主命を祀っているよ。
大国主も七福神の一員として有名だよね。
・石瓶神
石瓶神は石の神を祀っているんだ。
春日王が作った矢や幡を、石の瓶に入れて埋納した場所とも言われているの。
【住所とアクセス】
住所
奈良県奈良市奈良阪町2489
アクセス
JR・近鉄奈良駅からバスで13分(青山住宅、州見台八丁目行き)
奈良阪下車から徒歩で5分